エルマーのぼうけん(2)

いまから三十年(さんじゅうねん)近(ちか)くまえに日本(にほん)でも出版(しゅっぱん)されているという、大(だい)ロングセラーだから、読(よ)んだ人も多(おお)いと思(おも)う。

「ぼくは大(おお)きくなったらひこうきをもつよ。どこでもすきな所(ところ)へとんでいけたらすばらしいじゃないか」

「ほんとにそんなにとびたいんなら、大(おお)きくなってからでなくても、とぶ方法(ほうほう)があるかもしれませんよ」

エルマーとネコのこの会話(かいわ)から、ぼうけんがはじまっている。ぼうけんというのは、いつでもだれでも、どこにでもあると見(み)ればおもしろい。

「子どもだから(おとなだから)~できない」というのは、やり方(かた)を考(かんが)えようとしない人(ひと)の逃(に)げだ、といってもいいかもしれない。

◎「だます」「弱身(よわみ)につけこむ」というとかなり聞(き)こえがわるいけど、エルマーが動物(どうぶつ)たちにしているのは、まったくこれなんだな、ようするに。じょうしきをひっくり返(かえ)すこと。人(ひと)の考(かんが)えない方法(ほうほう)を見(み)つけること。

「真(ま)正面(しょうめん)からぶつかって、あたってくだけ!!」なんてよく言(い)われるけど、くだけちゃったらおしまいだもの。自分(じぶん)だったらどういう作戦(さくせん)をつかうか、エルマーとちえくらべをしてみるのもおもしろいそ。

◎ぼうけんとは何(なに)か。もちろんふしぎな世界(せかい)へ行(い)かなくても、君(きみ)のまわりには、ぼうけんがあふれている。生(い)きること、明日(あす)をむかえることもそうだ。また、毎日(まいにち)の生活(せいかつ)の中(なか)にもある。

◎朝(あさ)から晩(ばん)までよくほえるとなりの犬(いぬ)。何(なに)かといちゃもんつけるいじめっ子(こ)。すぐ先生(せんせい)を味方(みかた)につける優等生群団(ゆうとうせいぐんだん)。「早(はや)く」「きちんと」がとくいなおかあさん。よっぱらってるおとうさん、すぐなくおとうと……いろんな動物(どうぶつ)に見(み)えてこないかい?

◎動物(どうぶつ)にかわいい服(ふく)をきせて、家(いえ)のなかでかわいがってる人(ひと)がいる。外(そと)へ出(で)るときは、くつをはいたり、雨(あめ)の日(ひ)ようのレインコートやかさだって、ある。そうかと思(おも)うと、生(う)まれすぎた子(こ)ネコや、大(おお)きくなりすぎてかわいくなくなった犬(いぬ)は、かんたんにすててしまうことも多(おお)い。人間(にんげん)は、動物(どうぶつ)たちに、いったい何(なに)をしているのか。動物(どうぶつ)園(えん)のゾウやライオンたち、サーカスのくまたち、機械(きかい)がわりの馬(うま)や牛(うし)たち。この本(ほん)のなかにかかれている動物(どうぶつ)とりゅうの関係(かんけい)、エルマーとネコの関係(かんけい)をとおして、人間(にんげん)と動物(どうぶつ)の関係(かんけい)を考(かんが)えてみよう。

そこから、人間(にんげん)も動物(どうぶつ)の一種(いっしゅ)だということも、考(かんが)えてみよう。

 

 

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※出典:きみにも読書感想文が書けるよ

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エルマーのぼうけん

ルース・スタイル・ガネット・作 ルース・クリスマン・ガネット・絵

渡辺茂男・訳 / 作福音館書店