サークル・オブ・マジック 魔法の学校

十二歳になったばかりのランドルは、

ドーン城で騎士修業をしている。ある日、城にマードックという魔法使いがやってきた。ほんものの魔法を日のあたりにしたランドルは、心の底から感動する。

ところが、ほかの人間は、魔法など見えなかったという。ランドルには魔法使いの素質があるのだろうか。

魔法使いになりたい。きっと、こんなチャンスは二度とめぐってこないだろう――そう思ったランドルは、心の迷いをふりきり、旅支度を整えてマードックの後を追う。

だが、その行く手には、とほうもない試練が待っていた……。

◎とっちゃまんのここに注目!

読み始めると止まらない。昔のカッパえびせん(知ってる?)のような本だ。『ダレン・シャン』や『バリー・ポッター』のなかまだね。大人気のシリーズになるだろう。

主人公ランドルの成長物語。きみもひきこまれるんじゃないかな。そして、自分が進む道についても考えてしまうだろう。

考えるポイントは?

 ボクが「ふうむ」と思ったのは、刀や剣を「子ども時代の道具」といっているところ。だって、そういう道具をちょっと進歩させた兵器にして戦争をやっている「大人」がまだいるんだもの。この本の時代から見て、世の中はさして進歩していないのかもしれないよね。

 この物語、全部をひっくるめて「こういう感想です」とまとめようとすると、感想がバラバラな浅いものになってしまうかもしれない。

きみが心をひかれた会話や文を取り出して、考えを語っていくという方法をためしてごらん。というのは、この本には、テーマやポイントがそれこそたくさんあるからだ。

 魔法についての語りの部分は、言葉や、作文や、人づきあいの授業のように思えたよね。そう、魔法の呪文というのは、「言葉」だからね。

ボクは、そもそも、言葉というものには、魔法の働きがあると思うんだ。プロポーズの言葉も、人をおだてる言葉も、人を戦いにかり立てる言葉も、呪文のようなものだと言える。人が一番かかりやすい魔法は、言葉そのものかもしれないそ。

 主人公には、「騎士道」の心の持ち方や、人間としてのあり方についての、しっかりした信念があるね。「紳士」だしね。

こういう人間のあり方について、きみはどう思う?この主人公のような 人が、いまの日本にいるだろうか。

人間、体験だけではダメだ。何か体験しても、かならず成長できるとは  かぎらない。心の根っこにしっかりしたものを持っていないと、できごとにただ フラフラするだけで終わってしまう。体験がむだになる。その点を  読みこんで、つかんでほしいな。

5 悪魔との戦い、きみはどう思った?悪魔って、「こうありたい」自分を  じゃまする存在なのかもしれないね。とすると、ボクたちは、自分の心の  中に悪魔をかっているともいえるかもしれない。ボクはふと、そんなことを思ったよ。

もし悪魔がいなかったら、「鏡」には何が映るのだろう。正しいことと、正しくないことを見分けられるだろうか。

それにしても。魔法使いになれたらいいな。楽しいだろうな。だけど、自分をコントロールするのは大変そうだな。試練をクリアできるかな。このあたりに大事なテーマがかくれていると思うよ。

 

 

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※出典:読書感想文おたすけブック

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サークル・オブ・マジック 魔法の学校

デブラ・ドイル&ジェイムズ・D・マクドナルド・作

武者圭子・訳 / 小学館