セブンスタワー第七の塔 -Ⅳキーストーン-

闇の国で生まれた選民のタルは、家族を救うため、氷民の少女ミラとともにつらい旅を続けている。タルの父と兄は行方不明、母は原因不明の病にかかっている。すべてはスーシン影役人のしわざだ。

旅のはじめの目的は、家族を救うサンストーンを手に入れることだった。 しかし、ややこしいことがたて続けに起こっていく。やがて、タルとミラは、ある重大な秘密を知って、自分の家族や部族を守るだけではすまない、重く きびしい使命をになうことになる……。

タルとミラの運命は?闇の国に平和はおとずれるのか?読み始めたら止まらない、感動のファンタジー大作。

◎とっちゃまんのここに注目!

みんなが大すきな『ハリー・ポッター』や『ダレン・シャン』にもひけを   とらない作品。内容もなかなか深い。主人公のタルがどんどん視野を広げて いるところがいいね。

しかし、話がおもしろいだけに、感想文を書くのはかなりむずかしい。ストーリーに夢中になると、作者のメッセージが確認しにくくなるかもしれない。読むときは読むことに没頭する。書くときは書くことに没頭する。そういう 頭の使い分けが大切になってくる作品だと思う。

・タルの変化

選民であるタルは、これまでは、自分のいる場所、階級の中での価値観しかもっていなかった。ところがこの四巻になって、地下民のことを気にしはじめているね。これ、重要チェックポイントだ。

タルは、自分が自分でいるためにはどうすればいいのかという原則をつかみかけているように見える。旅の目的も、意識の変化とともに変わっていくね。このタルの変化、しっかりとらえておきたい。

作者は、このタルの変化を通して、何が大切なことで、何が尊重すべきことなのかというメッセージを、はっきりと語っているよ。

・きみがタルだったら?

「使命」についてもチェックだ。タルとミラの使命は重いよね。ところで、きみがタル、またはミラだったら?きみは使命にどう立ち向かうだろうか。 なりきり読みをすると、感想はつかみやすくなるだろう。

人って、自分の使命に気づいていないこともあるし、気づいていても、知らないふりをすることもある。そんな面からも考えてみよう。

・選民・地下民・自由民について

人間は属しているところによって、ちがってしまうものなのか……。それを理由に、敵や味方に分かれてしまうものなのか……。

これは、現実のさまざまな問題にもつながる重~いテーマだ。たとえば戦争や拉致事件。殺しあいや憎しみあい、あきらめや絶望……。そういうことの  根っこにあるものは何か?という見方をしていけるといいね。

自分とちがっているからといって、相手をみとめないというのはどうなんだろう?属している場所がちがっていても、ちがいを認めあって尊重しあうことはできないものか?……ボクもあれこれ考えたぜ。この本の感想文を書くなら、さけて通らず、深く深く考えてほしいテーマだ。

・ちょっと上級テクニック

「封印」。この言葉にもドキッとさせられたね。ボクもきみも、何かを封印しているのかも。それは、言葉かな?心かな?それとも……?「封印」をテーマにすえてみてもいい。ユニークな感想文が書けるよ。

 

 

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※出典:読書感想文おたすけブック

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セブンスタワー第七の塔

-Ⅳキーストーン-

ガース・ニクス・作 西本かおる・訳 / 小学館