音楽室には決まって、偉大な作曲家の肖像画が掲げられている。これを見て不思議に思ったことはないかな。
当たり前の風景を、見過ごしてちゃダメ。新鮮な感覚で見てみよう。そういうことが大事なんだよ。
とっちゃまんは「おかしいな」と思っていた。理由は「笑ってない」から。
ショパンはピースなんてやってないし、おどけたバッハというのもない。みんなまじめに、いかめしい顔をしている。なんでかな。君の意見を聞かせてくれよ。
☆取材して調べよう
こんなところから、書きはじめのきっかけが見つかるのさ。そして調べてみるんだ。何なら肖像画を印刷して売っているところを探して、電話したらいい。メールだっていい。
これを取材というんだ。「教えてください」と頼まれて、断る人はほとんどいない。
ただ机に向かってウンウンうなっていてもしょうがない。何人に聞いてもいい。聞いた相手とそれぞれの答えを書くだけでも大変なことだ。
調べていくと、作曲家だけじゃないと気がつくだろう。歴史の本を見てみようよ。信長が笑っているか?秀吉がギャグポーズしているか?調べると、政治家も軍人も作家もみんな「歴史上の人物は笑顔を残していない」ことに行き着くようになる。
☆過去と現代をくらべよう
さてさて、ここから着眼はぐっと進んで「核」になっていくよ。現代に目を向けるんだ。「今は」とか、「ボクの周囲では」などとね。
今、たいていの写真で人は笑っている。白い歯を出している。「笑顔がいいんだ」となぜかみんな思っているようだ。
ここで過去と現代との対比ができる。くらべて疑問をうきあがらせていくんだ。
☆「もしも」を考えよう
ひょっとしたら「笑う」肖像を残すことがプラスではなかったんじゃないか。今ほど笑顔を重要視しなかったんじゃないか。そんな考えにも行き着くね。
な。音楽室の作曲家がみな笑っていたら、ちょっと違和感がある。慣れの問題かもしれないけど、偉大っぽくなくなりそうだ。
これが「もしも」を考えるということなんだ。な。「もしも」を考えると、どんどん進むだろう。
☆君の考えた道筋を書こう
なぜそうなっているかを調べた。そして、過去と現代とを比較した。そして「もしも」を想定した。ここで君の意見を書くのさ。
こういうプロセスが全部書くことなんだ。考えた結果や、結論だけを書けばいいというものじゃない。君の考えた道筋。それを書くといい。
「本の筋」より「君の考えた道筋」。
ふと気になる。それにしても……。おやっと思ってしまう。こういうことに素直になることだ。その着眼が君の「読み」の基になる。
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※出典:読書感想文書き方ブック(2009年)