やあ!出会えたね!ダンゴムシ

やあ!出会えたね!ダンゴムシ

今森光彦・文・写真 / アリス館

手でさわると、体がくるっとだんごのように丸くなる「ダンゴムシ」みんな、よく知っているだろう?「べんじよ虫」ともいうんだよね。小さいとき、丸めたり、「コレクション」したりして、遊んだ子も多いだろう。中には、「大きらい!」という子もいるのかな?

その「ダンゴムシ」を、こん虫写真家がてってい観察して、おもしろい本を作った。一さつ全部丸ごと。「ダンゴムシ」!

まあとにかく、みてごらん。写真が美しいから。「あっ!」とおどろくことが待っているから。小さな虫の、大きな不思議がつまっているから。さあ、「ダンゴムシ」のワンダーランドへ出発だ。

◎とっちゃんまんのここに注目!

見ごたえ、読みごたえ、考えこたえのある本だ。ボクは、この本の作者が気に入ってしまった。やっていることがおもしろい。文もおもしろい。一行、一行に、きらっと光る「哲学」がある。

作者は写真家。「見る」ことに真けんで、「見る」力があって、「見る」

ことを通して「世界」を感じ取る力がある人なんだよね。

・ダンゴムシよ、悪かった

ボクはダンゴムシが甲殻類だと初めて知った。そうかあ、エビの仲間か。なんとなくかわいらしいというか、ユーモラスな感じがする。おいしそうな感じもする(そういえば、作者のうちの子は、ダンゴムシを食べちゃったんだよね)。

なんといってもやっぱり、さわると丸くなるというところがいいよね。ボクも子どものころ、よくからかって遊んでた。この本を読んで、パチンコのたまにしたことを思い出し、反省した。ダンゴムシよ、悪かった。

・考えるポイントは?

1 まず、生き物としてのダンゴムシの生態をしっかりつかみたいね。作者みたいに、ダンゴムシを水そうに入れてかってみるといいんじゃないかな。その気になれば、作者と同じような体験ができる。そして、新しい何かを見つけることができるかもしれない。ボクからの提案だ。

2 作者はダンゴムシをとことんよく見ている。この本には、ボクたちがいままで知らなかったことや、「なるほど!」と思うことがたくさんある。

それだけに、感想は、「へえ、そうなのか。すごいなあ」で終わってしまいそうだ。それでもいいんだけど、この本から、何かを発展させて考えてみてほしいんだよね。では、どうしたらいいか。

作者は、公園のダンゴムシからサバンナを思い出したり、脱皮からセーターを思いうかべたりしているよね。これだよ!

作者がこの本でボクたちに見せてくれている方法を、ボクたちもやってみるといいんだ。この本、ダンゴムシについての感想文とも言えるから、感想文のいいお手本になる。もちろん、作者の感想にそって考えていくこともできる。ちょっと工夫してみるとおもしろくなりそうだ。

3 ボクたちは、この本を通して、ダンゴムシの生き方を見ている。かれらにも、祖先がいて、親がいて、子がいる。たたかいがあり、食事があり、誕生がある。つまり、ボクらは、ダンゴムシという「生命」のドラマを見ているということだ。そんなふうに考えれば、きみオリジナルの意見がきっと生まれてくるはずだ。「生命力」ということについても考えてみたい。

4 水そうから出したダンゴムシがちっていった、そして、目の向こうに妻と子が見えた――という部分はとても象徴的だ。この文のおくにあるもの、作者の心にうつったものを、真けんに見てみない?

もう一度言うけど、ほんとに見ごたえ、考えこたえのある本だよ。

 

 

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※出典:読書感想文おたすけブック(2003年)