アストリッド・リンドグレーン・作 大塚勇三・訳 / 岩波書店
スウェーデンの小さな小さな町のはずれの古ぼけた小屋に、ピッピ・ナガクツシタというおかしな名前の女の子がたったひとりでくらしていた。
たったひとりだから「はやくねなさい」「かたづけなさい」なんてうるさく言う人もいない。ピッピはとっても自由なんだ。
ピッピがきみょうなのは名前ばかりじゃない。かっこうときたら、くつ下はかたほうが黒でかたほうが茶色というぐあい。くつも自分の足の倍もの大きさだ。その上、肩にめかしこんだサルをいっぴき乗せている。
そんなピッピのゆくところ、ゆかいなさわぎが必ず起こる。
◎とっちゃまんのここに注目!
女の子が主人公。ピッピには「世界一つよい」というキャッチフレーズが ついている。おおらかでおてんばで自由気ままで、元気モリモリ。
しかし、なんでピッピはこんなに元気なんだ?男の子と女の子は何がどう ちがうんだ?そんなことを考えながら読んでいくのもおもしろい。
男ははじめ弱くて、だんだんしっかり者になる。女の子ははじめから強い。ボクは、ピッピの物語にそんなことを感じてしまった。
・楽天的
ちょっと前にはやった言葉でいえば、ピッピは「プラス思考」の女の子だ。楽天的ともいうね。何事もいいほうに考え、明るく処理してしまう。心のきずとか悲しさということについてまでもね。これって、じつはすごいことだ。 だって、ピッピは「天涯孤独」なんだよ。
勇気とか、自信とか、成長といった言葉も、ピッピについて考えるキーワードになりそうだね。
・一人はいけない
「なぜ?」とピッピは聞くよね。おまわりさんとの会話で。ここのところ、覚えてる?この会話、もう一度じっくり読んでみよう。読み直して考えるとさ、目の前がぱーっと開けて広くなっていくような感じがするはずだ。
・自由
自由ってすてきなことだと思うけど、さびしくつらいものでもあるだろうな。もしかしたら、自由のためには、覚悟みたいなもの、あきらめみたいなものもいるのかもしれない。
さて、結局、ピッピってどんな子なんだ?ピッピの考え方や行動のしかた、ピッピの自由さ。それらについて、きみはどう思う?自由って、何だと思う?今の日本で、きみのクラスや近所にピッピみたいな子がいたら、どんな感じ?
そんなふうに考えてみてもいい。まず、学校の先生はものすごくこまるだろうねえ。当のピッピはどうなるかな。町中の人気者になる?それとも、なかまはずれになってしまう?いろんな見方で考えてみよう。
・ボクらの希望
じつはピッピって、ボクたちみんなが心の中で望んでいることを実行してくれているんだろうね。ピッピはボクらの希望の星ともいえる。だからピッピは、世界中の子どもたちに愛されてしまう。そんなわけで『長くつ下のピッピ』は永遠の名作になった。
ピッピの人気のひみつを、くわしく解き明かしてみないか?これ、やりがいあるよね。それからもう一つ。「強さとは何か」について、ここでも考えてみてほしい。
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※出典:読書感想文おたすけブック