ピトゥスが重い病気になった。病気を治すには、スウェーデンのえらい先生にみてもらうしかないという。ピトゥスのお父さんとお母さんはこまってしまった。ピトゥスをスウェーデンに連れていくお金など、どこにもなかったからだ。
そんな時、なかよし六人組のタネットが、ピトゥスのために動物園を作ろうとてい案する。お客さんをよんで、お金を集めようというのだ。初めは、「えーっ、むりだよ」と言っていたなかまたちだったけれど……。
スペインのバルセロナで、元気いっぱいの男の子たちがくり広げる、「やってやろう」ストーリー。
◎とっちゃまんのここに注目!
この本はぜったいにおすすめ。登場人物みんなが生き生きしている。元気が出るし、わくわくしてくる。大切なことが書いてある。ボクは何度も読み返した。こんな本がもっとたくさんあるといいのになあ!
タネットは空き地に動物を集めようと思った。ところが、集まったのは動物だけではなかった。さて、何が集まったか?これがポイントだね。
・初めは一人
初めに動物園を作ろうとてい案したのは、タネットだった。なかまが集まって、五人になった。次に神父さん、それから、町の子どもたち。動物学者のプジャーダスさんまであらわれて、どんどん協力者がふえていったよね。だけど、スタートは一人だったということを見のがしてはいけない。なんでも、初めは一人なんだ。これもかんじんなところだよ。
・話し合いの場面をチェック!
よく、「みんなで話し合って決めよう」と言う。ところがいくら話しても話がまとまらなくて、ただ話しているだけになることも多い。この物語にもそういう場面がいくつか出てくる。きみのけい験ではどうかな?
物語の中で話し合いがどう進められているか、見てごらん。思うところ(感想や意見だね)が出てくると思う。
・やると決めたら、やる
ピトゥスを助ける目的で立てた、動物園を作る計画。むちゃな計画に見えたのに、作戦ができて、実行委員もふえて、どんどん目的に近づいていったね。そしていつのまにか、計画を実行することが目的になっていた。
「だれかがやるだろう」でもないし、「なんとかなるだろう」でもない。
「お金がないからできない」でもない。
やると決めたら、やる。あきらめない。子どもも、大人も、それぞれができることをする。みんなが自分らしく参加する。「自発的」という言葉がぴったりだ。ここに、動物園成功のひみつがあるんじゃないかな?
・「ピトゥスの動物園」って何だ?
動物園ができた。でも集まったのは、動物たちだけじゃなかった。町の人たちみんなが集まった。知恵も、気持ちも、幸せも集まった。町の人たちみんながお客さんで、町の人みんなが実行委員になっていた。
ボクには、「ピトゥスの動物園」は、「集まった人たちみんなのすがた」に思える。それぞれが自分であることで参加してできている場、それが「ピトゥスの動物園」なんだ。
ボクらも「自分の力でなんとかする」というやり方で、自分の未来や社会の未来を明るくしたいね。いろんなことを、やろう、やろう、どんどんやろう!感想文もね!
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※出典:読書感想文おたすけブック(2007年)
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ピトゥスの動物園
サバスティア・スリバス・著 宇野和美・訳
スギヤマカナヨ・絵 / あすなろ書房