土佐幸子・著 / さ・え・ら書房
天才レオナルド・ダ・ヴィンチ、日本人では浮田幸吉や二宮忠八……。かつて、みんなが大空を自由に飛びたいと夢見ていた。自転車屋だったライト兄弟も、鳥のように空を飛びたいという夢をいだき続け、飛行機を発明し、人類史上初めて飛行機に乗って空を飛んだ。記録は12秒間、約36メートル。
では、どうしてライト兄弟の飛行機は飛ぶことができたのか?兄弟はどんな発見をしたのか? 失敗や墜落はなかったのか?物理学の先生が紙飛行機を折って。飛ばして、調整するという実験を通して、ライト兄弟の飛行機のひみつにせまる!
さっそく紙飛行機を折って、人類のすばらしい発明を追体験してみよう。飛行に成功したら、きみも小さな科学者だ。
◎とっちゃまんのここの注目!
おもしろい本だね!今から約百年ほど前に初めて飛行機で空を飛んだライト兄弟の話。だけど、よくある伝記ではなくて、どうしたら空を飛べるのか、どうしたら飛行機を飛ばせるのかといった「物理学」が中心。
紙飛行機の作り方が書いてあって、「よ~し、作ってみよう!」という気持ちになる。きみの部屋も実験の飛行機でいっぱいになるといいな。
・成功までのプロセス
読んでみて、ライト兄弟ってやっぱりすごいなと思った。もちろん、ライト・フライヤー号1号の初飛行にいたるまでには、歴史に名を残さなかった人をふくめての、数数の命がけの実験があったんだろうけど モンゴルフィエの熱気球やリリエンタールのグライダー……そういった集積の上に、兄弟の成功があった。
人が夢を実現するためには、じつにたくさんの知識や力が必要だ。そして、たった一回の成功の前には何千回もの失敗がある。これが発明というものなんだね。
なぜ失敗したか、それをどう究明して、どう改良していったのか。この本ではそんなプロセスを科学的につかみたい。そのプロセスが理解できたら、感想文も書きやすくなりそうだ。わかったことをメモに整理してみるといいよ。
・実験記録を作ろう!
この本、もちろん読むだけでも楽しいけれど、「飛ぶ」というメカニズム(航空力学だね)についてくわしく教えてくれているし紙飛行機の作り方もバッチリだから、実験してみない手はない。作者が書いているとおり、「やってみよう!」という気持ちが大事。
実際に実験してみて、成功も失敗もふくめての記録をまとめたら、感想文としては最高だ。同時に自由研究もできちゃうね!
・なぜ飛べたのか?
「なぜ飛べたのか」。やはりこのタイトルがこの本の、そしてきみの感想文の大きなテーマになる。くり返していうけれど、実験を通して追求してほしい。頭でわかったつもりになるのではなくね。
ライト兄弟が「なぜ飛べたのか」、人としてのあり方から考えてみるのもありだろうね。二人はいつもいっしょに仕事をして、生涯結婚しなかったらしいよ。
・「夢」で飛ぶ
人は鳥のように空を自由に飛びたいという夢を持っている。タケコプター、あったらいいよね!
月や火星に向かって飛び立つようになった現代だけど、飛行機が誕生してまだわずか百年。開発の余地はまだまだあるのかもしれない。たとえば空飛ぶバイク、プロペラぼうし……そういうものをあれこれ想像してみるといい。発明って、そういう荒唐無稽な想像から生まれてくるんじゃないかな。人はまず夢や想像で飛んで、その次にその夢や想像を実現する。この順番を忘れてはいけない。夢は大きくね!
未来へと生きるきみたちが、こういう本に啓発されて新たな発明や開発をしてくれるといいなと思う。これ、ボクからきみたちにおくるメッセージだよ。
※上記の著作権は宮川俊彦にあります。
※無断での転用・転載を禁じます。
※出典:読書感想文おたすけブック(2006年)
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ライト兄弟はなぜ飛べたのか
紙飛行機で知る成功のひみつ
土佐幸子・著 / さ・え・ら書房