北海道(ほっかいどう)の海(うみ)べの村(むら)にすむコウくん。初雪(はつゆき)がふるころになると、おとうさんとおかあさんは、東京(とうきょう)へ出(で)かせぎに行(い)く。こんなにきびしい自然(しぜん)のなかでも、人(ひと)は、生活(せいかつ)をしているんだよね。
◎なぜ、コウくんのおとうさんとおかあさんは、東京(とうきょう)へ出(で)かせぎに行(い)くんだろう。一年(いちねん)のはんぶんもかぞくと別(わか)れるくらいだったら、いっそのこと、みんなで東京(とうきょう)へ行(い)ってしまったらいいんではないか。そこまでしても、海(うみ)べの村(むら)にすむひつようが、コウくんのかぞくにはあったんだろうか。
◎くさいろのマフラーにこめた、おかあさんとコウくんの気(き)もちは何(なに)か。
これはかんたんにわかるはずだ。ただ、こういったものが出(で)てくる場合(ばあい)には、かならず、そこに人(ひと)の気(き)もちをよみとるようにしよう。
◎「やい、北風(きたかぜ)、はやく、春(はる)をつれてこい」何度(なんど)もこのことばがコウくんの口(くち)から出(で)てくる。春(はる)とは何(なん)だろう。かぞくがいっしょになれるときのことだよね。きせつが、人(ひと)の心(こころ)を動(うご)かす、それを考(かんが)えるといい。
春(はる)のあとには、かならず夏(なつ)が来(き)て、秋(あき)、冬(ふゆ)が来(く)る。春(はる)というのは、また来(く)る出(で)かせぎの、冬(ふゆ)までのつかのまの喜(よろこ)びのきせつだとみるのもいい。
◎『都会のねずみといなかのねずみ』というお話(はなし)にあるように、自分(じぶん)がすんでいるところが一番(いちばん)すみやすいというけれど、ほんとうだろうか。
住(す)めば都(みやこ)。人(ひと)は、人(ひと)が幸福(こうふく)だと思(おも)うことには、何(なに)もいえないし、手(て)を出(だ)
せない、ということを示(しめ)してもいる。
※上記の著作権は宮川俊彦にあります。
※無断での転用・転載を禁じます。
※出典:きみにも読書感想文が書けるよ
—————————————————————————————————————————————————————————————————————
くさいろのマフラー
後藤竜二・作 岡野和・絵 / 草土文化