ダレン・シャン・作 橋本恵・訳 / 小学館
「ぼく」ダレン・シャンは、クモが大好きな男の子だ。
学校では、アランとトム、スティーブの四人組でいつも遊んでいる。
ある日、アランが、なぞのサーカスのチラシを持ってきた。禁止されているはずのフリーク・ショー(見た目がふつうとちがう人を見せ物にするもの)を見せるサーカスらしい。夢中でチラシを読んでいたぼくは、ドルトン先生が近くにきていることに気がつかなかった。先生はチラシを見て「そんな残酷(ざんこく)なサーカスには絶対に行くな!」という。…けど、むろんぼくたちは、ぜったい行くことに決めていた。大人たちがだめだというものは、おもしろいに決まっているのだ。
ぼくは、そのサーカスのせいで、ぼくの人生が永遠に悪くなるなんて思いもしなかったんだ……。
◎とっちゃまんのここに注目!
みんなが大好きな「ハリー・ポッター」に匹敵(ひってき)するおもしろさがあるおススメ本。読めば、まちがいなくハマると思うよ。これはおもしろい!
・友情
ダレンとスティーブはかなり厳しいところにいるね。一方はバンパイヤ、一方はハンター。敵味方同士だよな。だけど、なんでダレンはこうなってしまったんだ?理由を知ったらきっと…というところだね。
ダレンは、友だちを助けるために人間を捨ててバンパイヤになった。相手はそのことを知らない。そこまでする?ところがするんだよな、ダレンは。なぜこんなことができるんだろう?そこまでされたら、相手にとっては重いよな~。
ボクはこの図式がとっても気になる。自己犠牲の結果、ダレンが得たものは何か。人間としての死だ。そして、バンパイヤとして生きることになった。それでいいのかな。これがダレンの選択だったわけだけど……。
きみはこの友情による選択をどう思う?
・選択、決断
選択、決断。ボクらの人生の前には、いつもそういう名のドアが開いている。ボクらは何を基準にして、そのドアを開けていくんだろう。ダレンにとって、その選択はどういう意味のものだったんだろう?
ダレンに限ったことではなく、君の前にも無限のドアがある。そのひとつを君は選ぶ。その結果は自分で負っていくしかない。選択と結果。この関係は死ぬまで続く。ちょっとこわいね。
けれども、ドアの前で立ち止まってばかりはいられない。何もしない、ドアを開けないということもひとつの選択ではあるけれど、自分でドアを見つけて、選択して、開ける勇気、ほしいよね。
・勇気
「友だちってできないの?」とたずねるダレンに、クレプスリーは「ああ、むりだ」と答[える。
「さびしくないの?」
「さびしいなんてもんじゃない」
ボクはこの部分が好きだ。バンパイヤは永遠のいのちを持つ。しかし、孤独だ。
日常世界においてフツーでいられることは、たいくつかもしれないけれど、幸せなことなのかもしれない。そういうことも考えてしまうね。
生きることって、勇気がいることなんだね。何かをする勇気。何もしないでがまんする勇気。いいかえるとやっぱり、「選択」と「決断」だ。
ひょっとしたら、ほとんどの人は、そういったさまざまな勇気を「小出し」にして、一回きりの人生をなんとか生きぬいていくものなのかもしれない。
世の中にはいろんな人がいていい。ボクはバンパイヤだっているんじゃないかと思う。この世ってひとすじなわでは行かないものなんじゃないかな。
自分の選択と決断によって、自分の人生を生きぬいていかなくちゃね。
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※出典:読書感想文おたすけブック