このアルプスの少女(しょうじょ)ハイジっていうのはね、まずしいかそ(人(ひと)の少(すく)なくなった)の村(むら)の女(おんな)の子(こ)の話(はなし)なんだ。
世界(せかい)の名作(めいさく)なんていわれているけど、たしかにこのお話(はなし)には、考(かんが)えたらキリがないくらい、たくさんたくさんの内容(ないよう)がつまっている。
でも、ふつうの人たちは、たいがい主人公(しゅじんこう)のハイジだけに目(め)がむいてしまう。もっとほかの見方(みかた)もできるんだよ。
たとえば、足(あし)の不自由(ふじゆう)なクララのたちばから見(み)てみよう。
クララの見(み)たハイジ、ゆうじょう、わがまま、がんばり、あい、自分(じぶん)自身(じしん)……。
いろいろな考え方(かんがえかた)ができるだろう。
こんどは、クララの車(くるま)イスをガケからつき落(お)としたペーターにまとをしぼって、ペーターのしたこと、ハイジへのおもい、クララへのおもい、つみとばつ、なやみ、ねがい、きたい、と考(かんが)えてみるといいだろう。
プロやきゅうでもマンガでも、中心(ちゅうしん)となるスター、アイドルだけを見(み)ていちゃいけないナ。そのまわりにいる人(ひと)たち、それともまったく出(で)てこないけど、きっとスターにかくれて、こんな人(ひと)がいるにちがいない、と思(おも)ったりすることがとても大切(たいせつ)だね。
あるブスの少女(しょうじょ)ハイジだったら、だれもスターだなんて考(かんが)えないかもしれない。だいたい主人(しゅじん)公(こう)というのが、かわいいときまっているのもおかし
なものだよね。
だからぎゃくに、それ以外(いがい)の人(ひと)に目(め)を向(む)けるといい。スターよりも、それを支(ささ)える人(ひと)に目(め)を向(む)けることが大切(たいせつ)。
主人公(しゅじんこう)のまわりの人(ひと)のことをよく見(み)て、かくことが、よりふかく読(よ)んだということになるし、心(こころ)にのこる文章(ぶんしょう)になることが多(おお)いんだよね。
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※出典:きみにも読書感想文が書けるよ パート2(1・2・3年向)(1990年)