サハラさばくの真ん中に不時着してしまったパイロットの「ぼく」は、不思議な男の子に出会った。かれはぼくに「ひつじの絵をかいて」と言う。しかたなく何頭ものひつじの絵をかいたが、なかなか満足してくれない。とうとう 箱の絵をかいて「その中にいるよ」と言うと、男の子の顔はようやく明るく なった。それが「ぼく」と「星の王子さま」との出会いだった。
王子さまは、とても小さな星(やっと家くらいの大きさ)からやってきたのだという。それから、いろんな星をめぐって地球にたどりついたらしい。王子さまがどんな星に行って、何をしたのかというとね……。
◎とっちゃまんのここに注目!
いったい何回この本を読んだことか。読むたびに発見があるし、読むたびに考えさせられる。この本、感想文を書くための本としても最高だと思うよ。 テーマがたくさん。どこを切りこんでも、深い深い感想文になるんじゃない かな。
・花を愛するってどういうこと?
うん、いきなりポイントだ。花は、美しさを鼻にかけている。とてもわがままで、愛するのはけっこう大変だ。でもかれんで、はかない。
この花を愛するってどういうことだろう。愛ってなんだろう。きみに聞いてみたいところだな。
ぼくの花と、たださいているだけの花は、何がちがうんだろう?
王子さまは花を愛していたけれど、「ぼくはあんまり小さかったから、あの花を愛するってことがわからなかったんだ」とも言っていたなあ。
・友だちになるってどういうこと?
王子さまとキツネとの出会いや会話は、すごくかんじんなところだね。
キツネは言うよね、友だちになるのなら、しんぼうが大事だ、はじめは少しはなれてすわるんだって。それからちょいちょい横目で見るんだって。「言葉っていうやつが、かんちがいのもと」「決まりがいるんだよ」、そんなこともいう。これってどういう意味だろう?キツネの言葉に、きみらしい意味を見つけてほしいな。
・かんじんなことは、目に見えない
どういうことなんだろうね。この言葉の持っている意昧、そしてきみの考え、きみなりの理解。考えてみてほしいな。
たしかに、言葉って、言いたいことの1パーセントも伝えられないもの かもしれない。でも、ボクらは言葉を使って伝えていくしかないよね。だから……。という展開になるのかな。
「心で見なくちゃ、物事はよく見えない」。うん、心で読んで、心で考えてみよう。
・めんどう見た相手には、いつまでも責任があるんだ
思わず立ち止まってしまう言葉だね。責任って何だろう。めんどうを見るって、どういうことだろう?この言葉のとおりなら、こわくて、重くて、人とはつき合っていけないような気もするし。
深さのある本って、何回読んでも気になるところがあって、気になるところがそのたびにちがっている。作者は何を言いたかったんだろう。何を伝えようとしたんだろう。考えが止まらなくなる。
『星の王子さま』って、そういう、いつまでも消えないかがやきを放っている本だと思う。
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※出典:読書感想文おたすけブック
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星の王子さま
サン=テグジュベリ・作 内藤濯・訳 / 岩波書店