フランシス・ホジソン・バーネット・作
足沢良子・訳 広野多珂子・絵 / 小学館
セーラ・クルーは、インド生まれのイギリス人でお金持ちの娘です。お父さんとふたりでくらしていました。
七才になったセーラはミンチン女学院に入学するため、お父さんに連れられてロンドンに来ました。院長先生もお金持ちのセーラを歓迎して、特別室や豪華な食事と、特別にあつかってくれました。
クラスメートや先生たちにも好かれるやさしいセーラでしたが、ある日をさかいに運命が変わってしまったのです。お父さんが破産して亡くなったという知らせがとどいたのです。無一文になったセーラに院長は手のひらを返したようにいじわるになりました。
◎とっちゃまんのここに注目!
セーラの登場。こういうストーリーは、心にグッとくるよね。どんな境遇にあっても、りんとしていて気高い。きぜんとしている。セーラのような人間を、「品格がある」という。品格の大切さがわかるよね。『秘密の花園』や『小公子』の作者、バーネットの作品。
・もしもセーラのようになったら
何不自由なくいっしょにくらしていた家族が、経済的な理由ではなればなれになったりすることもある。そういう中で、自分らしさや品格をたもつということは大変なことだよね。
まずしくなれば、どうしたって、食べること、こごえないことを優先させてしまう。同じようにこまっている人に分けあたえるという心をなくしてしまうこともある。そうなったとき、ボクたちは、このセーラのようにできるだろうかと考えてしまうね。
この子はなぜこういうことができたんだろう?だれにでもできることではない。その「なぜ」を追求していこうよ。
・ミンチン先生の『なぜ』
同じことはミンチン先生にも言えるね。なぜ、ここまでひどいことができるんだ?セーラの「なぜ」の問題とくらべて考えていくといいな。
さまざまな人がいる。どう見てもこの先生は悪役だけど、むしろ、この人の心をとらえることで、人間の心のひみつを読みとくことができるかもしれない。
これ、感想文でやれたら、最高だね。
セーラをいじめている側に立ってみるという方法もある。セーラをいじめるのはボクの趣味じゃないんだけど……、感想文を書くときのワザとして試してごらん。「どうしてもセーラをいじめたくなってしまう。なぜなら~」といった感じだね。
・これでいいのか?
セーラ、最後は幸せになれてよかったよな~。だけどね、感想文はそれだけじゃ物足りない気がする。王女のようになったセーラを見ると、「これでいいのか?」と思うよ。わかりやすい結末だけど、世の中、わかりやすいハッピーエンドばかりじゃないもんね。ボクはこの結末にメスを入れてみたいな。
・もしもセーラが身近にいたら
そしてもう一つ。セーラのような子がきみの身近にいたとしよう。みんなはどうつき合うかな。どんなことが起きるだろう?
セーラは、言いたいほうだい、やりたいほうだいの今の時代に、ほんとうにいてほしい子だ。しかし、セーラが今の学校やクラスの中にいたら、どんなことになっていくんだろう。そんなこともちょっと考えてみたいね。
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※出典:読書感想文おたすけブック
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小公女
フランシス・ホジソン・バーネット・作
足沢良子・訳 広野多珂子・絵 / 小学館