こわくないおばけというのは、まぬけな感(かん)じがする。でも、こわいおばけになるために、ものすごくからいカレーを、毎日(まいにち)食(た)べるというのは、もっとまぬけだね。
◎「こわすぎるおばけもよくないけど、からすぎるカレーライスもよくないわ」からいカレーを作(つく)ろうとするおばけに、エッちゃんは注意(ちゅうい)する。でも、おなじようなカレーばかりだと、おもしろくないよね。ひと口(くち)食(た)べると口(くち)のなかがバクハツしてしまうようなカレーや、すっぱいカレー、赤(あか)やみどりのカレーなど、いろんなカレーがあったほうが楽(たの)しくていい。
おばけだってそう。かわいいおばけがいたっていいけど、何(なん)でも人間(にんげん)の言(い)うことを聞(き)いてしまうようなら、おばけしっかくだよね。君(きみ)は「ふつうでいなさい」「あまりめだつとみんなからきらわれるよ」って言(い)われたことはないかな。
◎「かわいい」と「こわい」。いまは男(おとこ)の子(こ)でも女(おんな)の子(こ)でもかわいくなければ人気者(にんきもの)になれない。どういうときに「かわいい」と感(かん)じるのか、考(かんが)えてみよう。君(きみ)のクラスで人気(にんき)のある子(こ)は、どんなタイプかな。こわかったり、きびしかったりする子(こ)っているだろうか。
◎カレーを食(た)べて、せっかくこわいおばけになったのに、友(とも)だちがいなくなるとさびしくなって、またもとのかわいいおばけにもどってしまう。おばけにとってこわいことは才能(さいのう)だよね。自分(じぶん)の才能(さいのう)をなくしてまで、友(とも)だちとなかよくすることは、大切(たいせつ)なのだろうか。ちょっとむずかしいけど大切(たいせつ)なテーマだゾ!「友(とも)だちをたくさん作(つく)りましょう」「友(とも)だちはたからものです」ってよく言(い)われる。でも、なぜ友(とも)だちが大切(たいせつ)なのかということは、あまり考(かんが)えたことがないんじゃないかな。たとえば、友(とも)だちとなかよくするために、自分(じぶん)のしたいことをがまんしたってことはないだろうか。ぎゃくに言(い)えば、自分(じぶん)がしたいことのためには、友(とも)だちをなくしてもいいと思(おも)うだろうか。自分(じぶん)のみぢかな所(じょ)から考(かんが)えてみるといい。
◎おばけなんていない。ほんとうのところ、おばけがいるのかどうかはわからない。なのに、本(ほん)やテレビ、マンガにはやたらとおばけが出(で)てくる。つまり、おばけっていうのは、人(ひと)が想像(そうぞう)して作(つく)ったものだ。なぜ人(ひと)は、こんなにもたくさんのおばけを、作(つく)ってきたのだろう。こわいもの、気(き)もちのわるいもの、ふしぎなもの……おばけを作(つく)り出(だ)した人(ひと)のねがいや目的(もくてき)は何(なに)か。現実(げんじつ)にはないものだからこそ、ぼくたちはあれこれと想像(そうぞう)するのだろうね。夏(なつ)のよるなどに、へやをくらくして"怪談(かいだん)"を話(はな)してもらうときの耳(みみ)をふさぎたくなるような、それでいてむねがドキドキするような感(かん)じ……あのあたりにカギがありそうだ。
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※出典:きみにも読書感想文が書けるよ
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カレーライスはこわいぞ
角野栄子・作 佐々木洋子・絵 / ポプラ柱