「ぼく」ダレンはごく普通の男の子だったが、ある日奇妙(きみょう)なサーカスを見に行ったことから大きく運命がかわる。バンパイア、クレプスリーの助手として生活することになったのだ。やがてそんな生活にも慣れ、親友のエブラ・ フォンらとシルク・ド・フリークで気楽に過ごしていたのだが……。
ぼくはフリークショーや友達を残して、クレプスリーと遠く離れた「バンパイア・マウンテン」へ行くことになった。バンパイアになるには若すぎると 思っているバンパイア元帥とバンパイア将軍に一族として認めてもらうためのテストを受けるのだ。もうひき返せないときになってはじめて、ぼくは知った。もし試験に失敗したら、ぼくは殺されることを!ぼくが危険な挑戦に取り組み、こなしていく一方で、バンパイア・マウンテンの深層部で、ある陰謀が進行していた。
◎とっちゃまんのここに注目!
ボクが愛読しているこのシリーズも、もう五作目。ハリー・ポッターの作者も絶賛しているというよ。
ハリーの物語が冒険活劇だとすると、こちらはかなりの心理戦。心の描写や人間性探求のウェートが高い。感想文、意見文を書くには取り組みやすいと 思うよ。探求しがいがあるしね。
今回は、十二年ごとに開催されるバンパイアの総会に出席した主人公が試練を受ける。合格すれば、バンパイア一族としてむかえられるし、失敗すれば 死が待っている。う~ん、厳しいな
・高潔
高潔(こうけつ)という言葉がたびたび登場する。吸血鬼に高潔って、ミョウな気もするが、不思議と納得できてしまうんだよね。ボクは、シリーズを通して、ダレン・シャンは、人格も心ばえも高潔だという印象を受ける。
ところで、高潔とは具体的にはどういうことを指すのか。これをきみに考えてほしい。一人前になるための試練を受けるという経験は、ボクたちにもあるよね。高潔という言葉を、試練に重ねて(試練を通して、といったらいいかな)見つめてみよう。
・試練
これもいい言葉だね。ツライけれど、試練を乗りこえた後には楽しみもある。試練を乗りこえて、ボクらは大きくなる。心も、人間もね。
今回の巻(かん)では、今までよりずっとダレンが身近に感じられるけど、それは 試練のせいかもしれないね。
さて、試練にたえるためのキーワードは、知力と体力と運。それからもち ろん、気力だね。ダレンが試練にたえぬいて、そのがんばりが認められると、何かほっとするよね。
ハーキャットの友情出演もあった。この友情を導いたのも、ダレンの力量だとボクは思うよ。
・信念
「新しい信念のために古い信念を捨てなければならないときがある」、これもグッとくる言葉だね。うん、そうやって人は進化するんだ。ダレンにとっての古い信念、新しい信念とは何だったのか、もう一度チェックだね。
・さて、ポイントは?
この先、ダレン・シャンの物語はどうなっちゃうんだろう?ワクワクする よね。だけど、そんなふうにストーリーを追っていくだけでは、感想文の展開は苦しくなる。実際に感想文、意見文を書くときは、ストーリをややつき放して冷静に見るのがコツだ。
キーワードは先に書いた「高潔」、「試練」、それから「信念」だな。そう、ダレンには信念があった。ダレンが信念を持って、どう成長し、どう進化していったかをとらえてみるといい。試練が降りかかるたびに、彼は何かをつかんでいく。今回は何をつかんだんだろう?そういう視点を忘れずにね。
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※出典:読書感想文おたすけブック
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ダレン・シャンⅤ-バンパイアの試練-
ダレン・シャン・作 橋本恵・訳 / 小学館