この本は「ルドルフとイッパイアッテナ」「ルドルフともだちひとりだち」につづく、ぼく「ルドルフ」の三さつ目の本。
ぼくは二年前、岐阜から東京にやってきた。東京で知り合った、イッパイ アッテナやブッチーたちなかまといっしょに、楽しく何とかやってきた。
今回の話は、千葉県の市川に住んでいるドラゴン三兄弟のうちの、下の二 ひきがやってきて、ルドルフに願い事をするところから始まる。「あっしら、ルドルフ親分にブラッド兄貴のかたきうちを手伝っていただきたくって…。」かたきっていうのは大きな犬らしい!
えーっ!! そのうえ、ブッチーのようすもなんだかおかしくて……。
◎とっちゃまんのここに注目!
待ってました!ボクはこのシリーズが好きなんだ。男の友情が書かれててさ。もちろん、女の子たちにも読んでほしいんだけどね。
これでシリーズ三作目。あいかわらず、ルドルフとなかまたちの世界には 活気があるよ~。みんな元気いっぱい生きている。
・問題がいっぱい
電車の中にねこたちがいても知らん顔する人間たち。巨大なちょうちんを つくった電気会社の人。人間の世界の問題がいっぱい示されていたよね。
それだけじゃない。読んでいくと、友情やなわばり、自分の行動をコントロールする問題など、ボクたちが考えたい問題が、次から次へと出てくる。それが、この本のおもしろさ。どのテーマを選んでも、歯ごたえバッチリだ。
・キーワードは「教養」
この本のキーワードを教えよう。それは「教養」だ。この本に登場する なかまたちは、つねに「教養」をもって行動しようとしていると思うんだ。 そして、「無教養」をバカにしきっている。「おいおい、人間社会の教養ってのはそんなものかい?」って調子。かれらが何を「無教養」といい、何を「教養」と考えているか。これ、ひろっていくとおもしろいよ。
・飼いねこかノラねこかの問題
ノラねこのたたかい、読んでいて、つらかったなあ……。
世間はノラと見る。そのためにつらい思いをした。だから、ひねくれた。 これってつらいけど、やっぱり「ちがう」よね。「オレはオレ」と言えるだけの力を持たなくちゃ。結局、最後は自分の中身。中身で勝負したいものだよね。
・ルドルフたちの成長
物語に出てくるヤツらは、一見らんぼうだ。だけど、あいさつをかかさず、一つ一つのできごとにけじめをつけている。けっしてやりたいほうだいでは ない。そしていつも、考え、なやみ、成長している。一さつ目のルドルフと 比べてみると、成長ぶりがよくわかる。ボクたちもそうありたいな。
・心のひきだし
「ふなだんすって、心ににている…。」
この文、いいよね~。ボクはグッと来た。ひきだしにはいろんな思い出が しまってある。しまうものも、場所も、一つ一つちがう。人は、心のひきだしを持って生きているんだ。
この作品、こんなふうに、一つ一つの場面や文を切り取って、深く考えて みるのもおススメだよ。――ーボクは、ほんとにこの本が大すきなんだ!
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※出典:読書感想文おたすけブック
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ルドルフといくねこくるねこ
斉藤洋・作 杉浦範茂・絵 / 講談社