自分の問題意識をぶつける

例えばイソップの『北風と太陽』を読んだとしよう。

この物語を読んで、「温かさや優しさが、人の心をほどいていく」と理解する。それで、間違いではない。学校の先生も、それさえ語ればマルをくれるだろう。

 

◇問題意識を持つ

でもね、少し掘り下げて考えたら、疑問はいっぱい出てくるはずだ。

「人の心を裸にすることはどんなことかな。それはしていいことなのかな。」とか、

「北風は、なぜ吹くことしか思いつかないか」とか、

「北風も、太陽によって作られているじゃないか」とか、

「旅人が最後に川に入ったのは、太陽の温かさを拒否したいのではないか」など。

 

これは茶々ではない。ひねくれているのでもない。すべて正当で真っ当な問いだ。

こうした問いは、君の日常の問題意識から生まれる。また、話を対象化するから生まれる。ここがポイントだ。

 

◇本に問いかける

要は「自分に引き寄せて考える」ということだ。そうすることで、ハイレベルな意見が生まれる。もしかしたら、同水準の問題意識を持たない親や教師には、君の問いは分からないかもしれない。しかし、それでもいい。

勝手に制限を作らないことだ。なぜなら君の問いは君だけの固有のものだから。堂々と臆することなく自己を語ったらいいんだ。

 

 

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※出典:読書感想文書くときブック(2010年)