ぼくらは知床探検隊

北海道の東岸、知床半島の根元にある、羅臼の町にすむ子供たちは、夏のなると5泊6日の知床探検に参加する。小4、小5の子どもの「わんぱく隊」、小6~中3までの子どもの「チャレンジ隊」、合わせて「ふるさと少年探検隊」だ。

7月31日の朝6時、子どもたちは大人たちと隊長のワクさんに連れられて出発した。30メートルもの断崖をがんばってよじのぼり、クマを発見し、そのほかいろんなものを見たり話を聞いたりしながら、ようやく午後になってキャンプをするモイルスに着く。

チャレンジ隊はさらに、知床岬をめざして旅を続ける……。

◎とっちゃまんのここに注目!

すごいね、この本の絵。さすがだね。日本の北。寒い地方のどく特のふんい気が伝わってくるよね。

それにしても、すごいところなんだなあ。地図帳で知床をさがしてごらんよ。これ、ぜったいにやってほしいことだよ。

・自然について

しかのほねがあり、道のないところを登っていく。そういうことだよね。開発なんかされていないから、道はまったく整びされていない。とてもけわしい。

ボクらの先祖は、そういうところを切り開いてきたんだ。「日本」ということも考えちゃうけど、「人類」の歩んできたこと、なんてことも考えちゃうよね。

・なんで?

ねえ、きみは疑問に思わないかな。なんでこの本に出てくるような所にも、人は住むのか。人はわざわざ旅をするのか。

日本列島いたる所、いろんな所に人が住んでいる。とんでもない山おくとかね。なぜだろう。ある場所に行き、そこに住みつくわけというものがあるのかなあ。このへんのこと、考えてみてほしいなあ。

・探険

探険をしたチャレンジ隊。しかし、その前にも、ここをたずね、地図を作った人びとがいた。人は探険をする。この本にも、そのいきさつが書かれているね。これって、なんのため?理由なんてないのかもしれないね。「山がそこにあるから登る」、ぼくはこれが答えだという気がするよ。人っていうのは、知りたい心と探険したい心を持った生き物なんだ。

人はぼうけんして、文化や知しきを得てきた。人のぼうけんって、この先もずっと続いていくんだろうね。生きることだって、ぼうけんだ!

・さて、ポイントは?

今の時代にも、ぼうけん家、探険家はいる。ぼうけん、探険は、むかしからみゃくみゃくと続く、人間のちょう戦のいとなみだ。

そうなんするかもしれなくても、きけんな目にあうかもしれなくても、人はチャレンジをやめない。悲しいことも覚ごして、旅に出る。人って、ほんと、ふしぎな生き物だね。

探険をやりとげた満足感。それが、最後のページの絵の表情に出ていたよね。そして、思い出はぼうけんの結果だ。

人ってさ、旅をする生き物なんだね。ぼうけんしなくても、いつもと同じ場所にいても。

人は、時間を旅してる。自分を旅してる。人生を旅してるんだ。

 

 

※上記の著作権は宮川俊彦にあります。
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※出典:読書感想文おたすけブック(2001年)

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ぼくらは知床探検隊

関谷敏隆・作・型染版画 / 岩崎書店