今日(きょう)からは、あなたの盲導犬(もうどうけん)

今日(きょう)からは、あなたの盲導犬(もうどうけん)

日野多香子・著 増田勝正・写真 / 岩崎書店

 

目(め)が不自由(ふじゆう)な人(ひと)の目(め)になり、安全(あんぜん)を守(まも)る盲導犬(もうどうけん)。盲導犬(もうどうけん)はどんな訓練(くんれん)を受(う)けて、一人前(いちにんまえ)になるのかな?

 この本(ほん)に登場(とうじょう)するのは、盲導犬(もうどうけん)歩行(ほこう)指導員(しどういん)の原(はら)さんと、ラブラドール・レトリバーのセロシア、そして、セロシアの主人(しゅじん)になる大石(おおいし)さん。原(はら)さんとセロシアの訓練(くんれん)は三(さん)か月(げつ)も続(つづ)くけど、訓練(くんれん)はそれで終(お)わりじゃない。

きびしい訓練(くんれん)ばかりなのに、どうしてセロシアはがんばれるんだろう?原(はら)さんは、仕事(しごと)のどんなところにやりがいを感(かん)じているのかな?セロシアに会(あ)った大石(おおいし)さんの気持(きも)ちも知(し)りたいな……。

一頭(いっとう)の盲導犬(もうどうけん)が育(そだ)ちあがるまでを教(おし)えてくれる、写真(しゃしん)の絵本(えほん)だよ

 

◎とっちゃまんのここに注目(ちゅうもく)

ひとつのことに打(う)ちこんでいる人(ひと)のすがたはいいなあ!

ボクはこれまで、盲導犬(もうどうけん)は人(ひと)をみちびくナビゲーターのようなものだと思(おも)っていたんだけど、ちがうんだね。

盲導犬(もうどうけん)は人(ひと)の命令(めいれい)にしたがいながら、人(ひと)をささえ、共(とも)に歩(ある)く。人(ひと)は盲導犬(もうどうけん)にまかせるのではなく、でも目(め)の役目(やくめ)はつとめてもらって、共(とも)に歩(ある)く。

とてもきょう味(み)深(ぶか)いし、深(ふか)くうなずける関係(かんけい)だね。人(ひと)と犬(いぬ)とが、たがいにたがいを大(だい)すきで心(こころ)が通(かよ)っていないと、この関係(かんけい)は成(な)り立(た)たない。人間(にんげん)同士(どうし)でもむずかしいことをやっているんだよね。

人(ひと)は、命令(めいれい)にしたがう犬(いぬ)の習性(しゅうせい)をうまく活(い)かしているわけだけれど、かんじんなのは、愛(あい)じょうだ。動物(どうぶつ)は愛(あい)じょうにこたえてくれるんだ……。

このことをしっかりとらえておかないと、ただ、仕事(しごと)しょうかいの本(ほん)を読(よ)んだだけ、ということになってしまうよ。

 

・わかったことを整理(せいり)してみよう

盲導犬(もうどうけん)って大変(たいへん)なんだね!あまやかされてわがままいっぱいの犬(いぬ)たちとは大(おお)ちがい。本当(ほんとう)に人(ひと)の役(やく)に立(た)っている。命令(めいれい)は英語(えいご)、走(はし)らせない、間食(かんしょく)はさせない、訓練(くんれん)は命(いのち)がけ――訓練(くんれん)する人(ひと)の考(かんが)えや苦労(くろう)もわかった。

そして、この本(ほん)で知(し)ったもうひとつの大(おお)きなこと、それは、盲導犬(もうどうけん)と歩(ある)く人(ひと)にもクリアしなければならないじょうけんがあるということだ。犬(いぬ)との相(あい)しょう、犬(いぬ)を信(しん)じる気持(きも)ち、それからたぶん、自分(じぶん)を信(しん)じる気持(きも)ち。必要(ひつよう)なのは歩(ある)く訓練(くんれん)だけじゃないんだ。これには考(かんが)えさせられた。

こんなふうに、この本(ほん)を読(よ)んでわかったことを書(か)き出(だ)してみると、自分(じぶん)なりの感想(かんそう)や意見(いけん)が取(と)り出(だ)しやすくなるよ。メモを作(つく)って整理(せいり)してみよう。

 

・できることはなんだろう?

日本(にほん)で盲導犬(もうどうけん)が生(う)まれてから、まだ五十年(ごじゅうねん)くらいしかたっていないという。しかも、初(はじ)めのころは世間(せけん)の理(り)かいが得(え)られなくて、列車(れっしゃ)に乗(の)せるときは貨物(かもつ)として箱(はこ)に入(い)れなければならなかったという……。

今後(こんご)はどうなっていくんだろう。もっと人(ひと)と盲導犬(もうどうけん)が歩(ある)きやすい社会(しゃかい)になればいいのに。

そしてそれ以上(いじょう)にボクは、もっと人(ひと)が人(ひと)をささえる社会(しゃかい)じゃなくっちゃ、と思(おも)った。そのためにボクらにできることはなんだろうね?

 

・テーマを見(み)つけよう!

仕事(しごと)、愛(あい)じょう、人(ひと)を助(たす)けるということ、生(い)きるということ、世(よ)の中(なか)のしくみ。この本(ほん)はいろいろなテーマを投(な)げかけてくれている。

「ぼくは・わたしはこう思(おも)う」と言(い)えるようなテーマをさがし出(だ)して、感想(かんそう)文(ぶん)を書(か)いてみよう。文中(ぶんちゅう)の言葉(ことば)にこだわらず、大(おお)きな目(め)でとらえてね。

「見(み)えない」ということについて、自分(じぶん)なりの考(かんが)えをまとめておくのも、大事(だいじ)なこと。この本(ほん)の感想(かんそう)文(ぶん)を書(か)く上(うえ)で、必要(ひつよう)なことだよ。

 
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※出典:読書感想文おたすけブック2008年度版