ファーブル昆虫記

『ファーブル昆虫記』は「ファーブル」という虫が大好きな学者がいろんな虫を約六十年間観察して書いたものです。

みなさんは、スカラベという虫を知っていますか。日本にもいるコガネムシの仲間です。この仲間はフンを玉のようにまるめて転がすので、フンコロガシともよばれています。

この、気が付かずに通りすぎてしまいそうな小さな虫も、観察したり研究したりするとずいぶんいろいろなことがわかるのです。

この本を読むと、スカラベの生活のしかたをくわしく観察することで、大自然のひみつまでがだんだんわかってくることにおどろくでしょう。

 

◎とっちゃまんのここに注目!

言わずと知れた、名作中の名作。

世界はなぞにみちている。ボクは、その未知のこと、わからないことにとことん取り組む、学者としてのファーブルの生き方が好きだ。

勉強というのは、教えられたものをただ覚えるだけじゃだめなんだ。自分で何かテーマを見つけて、探求していかなくちゃ。そんなことを思う。

そして、いろんな「不思議」と「不思議」に出会うまでの道すじに出会えるのが、この本の魅力。読みごたえのある本だね。

 

・ファーブルのまなざし

フンコロガシ、おもしろいねえ。このなんともゆかいな虫の、かくされたすがた。ボクはほんとうは虫がキライなんだけど、『ファーブル昆虫記』を読んでいると、フンコロガシもいとおしいものに感じられてくる。

これはたぶん、ファーブルのまなざしによるものだ。ファーブルは、虫を愛すべきものとして見ている。その愛情をひしひしと感じてしまうんだよね。

「ふん」にたかる虫を研究する――それだけでも感動してしまうしね。ボクたちには「ふんはきたないもの」という思いこみがあるけれど、ファーブルは、そんなことにとらわれない。とことん調べる。そして、この世の中の生き物が持っている習性や特性を、どんどん発見してしまう。

ファーブルみたいな圖を持てたらいいね。

 

・自然のメカニズムのすごさ

自然界にはどれだけのふんがあるのかな。それらをふん虫は食べ、利用し、掃除する。しかも、この「仕事」には、いろんな生き物が参加している。ふんも、動物さえも、ものの見事に解体され、消化されていく。すごいメカニズムだよね。

ボクらはこの大きな自然のメカニズムの中で生きているんだなあ……とつくづく考えさせられてしまったよ。

 

・さて、ポイントは?

読み方はさまざまだ。世界には、この本に影響を受けて科学者になったという人もたくさんいるんだよ。

まず、ファーブルという人について、考えることができるね。一つのことに打ちこんでいくすがた。まっすぐな生き方。みんながそうできるとはかぎらない――なぜファーブルにはできたのか。

本を読んで、「おもしろいなあ」「不思議だなあ」と感じたところを書き出していくのもいい。そうすると、きみがこの本を読んで、何を「発見」したか、明らかにできるよね。

きみの「なぜ?」を追求してごらん。感想文も、ファーブルも、「世界」

も、きみのチャレンジを待っているぞ!

 

 

※上記の著作権は宮川俊彦にあります。
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※出典:読書感想文おたすけブック

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ファーブル昆虫記

ジャン・アンリ・ファーブル・作

奥本大三郎・訳 見山博・絵 集英社