ガストンとルシアⅡ

ガストンとルシアは十二才。ハロウィーンの夜におとずれた不思議な骨董屋で、店主のポラックからなぞの本『レザンファン』を見せられ、時をこえる  「魔法の羅針盤」をもらう。

その数日後、二人はワニのシンキューバに出会い、「君たちを何千年も待っていた」と告げられる。こうして、世界の過去三千年を旅する、二人の冒険が始まった。

悪の化身との戦い、そして、しだいに明らかになる『レザンファン』のひみつ。旅はどこへ行きつくのか?禁断のとびらの向こうで二人が出会ったのは?傑作ファンタジー、感動の完結へん。

 

◎とっちゃまんのここに注目!

これは傑作。ぜひ二さつ通して読んでほしい。歴史の勉強になるし、現代  社会のさまざまな問題に関心がある人にとっては願ってもない作品だよ。

冒険物語として読んでもとりこになるけど、作者の真のねらいはきみが読んだらすぐにわかる。教科書もこんなふうだったら楽しいのにな。

 

・この本、どう読みとく?

ガストンとルシアの冒険、ハラハラドキドキだっただろ?ヒロシマ、カンボジア、パレスチナ。世界中でさまざまなことを見たよね。そう、きみも二人といっしょに世界の過去を旅したということ。そのひとつひとつのできごとを 覚えていたいものだね。

二人は時代時代で、子どもたちがどういう目にあったかを体験していく。 戦争のぎせいになったり、おとなに利用されたり。初めて知って、ショックを受けた子もいるだろう。だけど、たしかにこの本に書いてあるとおりなんだよ。今だって、つらい運命にさらされている子どもはたくさんいる。みんなにとって幸せな時代はまだ来てはいないんだなと、ボクは感じた。

まず、歴史の事実を受けとめよう。それから、「なぜ?」と考えよう。そこから、きみの感想や意見が生まれるだろう。

 

・『レザンファン』のなぞ

白紙の本、『レザンファン』の意味、きみはとけたかな。ボクの考えではね、まず、きみたちの未来は白紙だ、自分で書きこんでいけるんだということ。  それから、歴史の中で語られてこなかったページは、きみたち自身が調べて、書きこんでいくべきだということ。歴史には白紙にされている事実があるけれど、白紙のままでいいのか、見ようとすれば見えるはずだというメッセージも、こめられているだろう。うん、『レザンファン』の読み方は、きみの考えしだいでどんどん広がりそうだね。

 

・読むだけでいい!

グレゴワールが意味するものって何なんだ?子どものためと言いながら、 子どもをペットにしたりダメにしたりする存在?(ここでママの顔を思いうかべたりしないようにね。)これも感想文の材料になるね。

とにかく、感想文にはきみの考えを思うぞんぶん書くといい。もの言えず 死んでしまった子どもたちのためにもね。歴史が始まって以来、七百五十億人の子どもがいたという。きみはその最前線にいるのだから。

だけど、じつは、「感想文は書かなくてもいいから読んでくれ!」というのがボクの本音。この本、読み返すたびに感想が変わるはずだよ。

さてさて、「感想文は書かなくてもいい」と言うボクがグレゴワールか、「感想文を書かなくてどうするの!」と言う人がグレゴワールか。そんなことを 考えるのもおもしろい。きみのそばにもいつも、グレゴワールや守護神バステがいるんだよ。

 

 

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※出典:読書感想文おたすけブック

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ガストンとルシアⅡ

ロジェ・ファリゴ・著 永島章雄・訳 上條さなえ・監修 / 小学館