地球温暖化、しずみゆく楽園 ツバル

地球温暖化、しずみゆく楽園  ツバル

山本敏晴・写真・文 / 小学館

もしもしょう来、自分の国が海にしずんでしまう運命にあるとしたら……。

南太平洋にうかぶ九つの島からなる美しい国、ツバル。この国は今、ある危機に直面している。サンゴ礁からできた土地の高さはおよそ一メートルで、今のまま地球温暖化が進んで、海面が高くなり続ければ、そう遠くないしょう来、海に沈んでしまうというのだ。

作者は、今の地球のよいところと悪いところを同時に見せてくれるツバルは、「地球の未来の姿。そのもの」だという。

きみはこの本を、どう受けとめるだろう?

 

◎とっちゃんのここに注目!

ツバルは、地球温暖化の問題が語られる時によく出てくる国だ。面積は東京都の百分の一、人ロは約一万人という小さなこの国に、今、世界中が注目している。

まず、本がうったえているテーマを正面から受けとめよう。これは、ボクたちにつきつけられている、げん実の問題だよ。

決まりきったフレーズで、「自然はかいはよくない」とか、「かんきょうを守ろう」とか語って終わりにするのは、もういいよね。もちろん大事なことではあるけれど、ボクらはその先に行かなくちゃ!

「なぜ」と「どうすれば」。この二つの言葉をカギにして、考えていこう。

 

・だれのせきにん?

地球の温暖化で国がしずんでしまうかもしれない――これはツバルだけ

の問題ではないし、ツバルの人たちのせきにんでもないよね。ツバルの人びとは今、自分の国の問題を世界の問題として、発していく立場にあるということなんだ。これはしっかりおさえておきたいところ。

では、なぜ地球は温暖化しているのか。温暖化はだれのせきにんなのか。ツバルをほうっておいていいのか。ボクたちはどうすればいいのか。これが、作者から投げかけられているテーマだ。

 

・どうして?

温暖化の原因には、じつはみんなが気づいている。だけど人類は「それ」

をやめられない。

山がけずられ、海がうめたてられる。工場やビルが建ちならび、道路がしかれて、車が走る――世界は、人類は、どうしてこういう文明を選んでここまで来てしまったんだろう?ボクたちは、今のかいてきな生活をすてることができるだろうか?そんなきびしい問いかけをしてみる必要もありそうだ。でないと、「なぜ」や「どうすれば」の答えは出ないかもしれないよ。

 

・どうすればいい?

でもボクたちは、ここまで来てしまった。もう後もどりはできない。本当に、どうすればいいんだろうね……。

ツバルがしずまないように、人ロのうき島にする?地球を冷やすそう置を作る?地球きぼで人工的に自然をコントロールする?

温暖化の原因を全部取りのぞいたら、地球は「元」にもどれるのかな?その「元」って、いつの時代のどういうじょうたいのことだろう?ボクはそんなことも気にかかる。

考えることが多い、むずかしいテーマ。感想や意見につまったら、「人が守らなければならないものは何か?」とシンプルに考えてみよう。いちばんのヒントになるのは、ツバルの人びとのかがやく笑顔かもしれない。

 

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※出典:読書感想文おたすけブック