えほん寄席 満員御礼の巻

みなさん、落語にきょう味はおありですか。えっ、ない?それはもったいないことでございますねぇ。

まあちょっと、この本を手に取ってみてください。ゆかいで、笑えて、しゃれている。こんなにおもしろいものは、そうめったにあるものじゃございません。落語の歴史はかれこれ四百年。寄席の起こりは、江戸時代。落語には、日本の笑いと知性、人情がつまっているのでございます。

本のもとはNHK教育テレビで放送中の「えほん寄席」。絵本落語もまた、イキなものでございますよ。もちろん、CDも付いています。聞いて、読んで、ソンはなし。おもしろ落語に、さあ、お立ち会い。

 

◎とっちゃまんのここに注目!

落語はおくが深い。笑いひとつとっても、大笑い、ほのぼのとした笑い、切ない笑いと、いろいろあるし、笑い話だけでなく、なみだをさそう人情話や、こわい怪談もある。江戸時代、人びとはせっせと寄席に足を運んでは、むちゅうで聞き入っていた。くらしに欠かせない楽しみだったんだね。

この本におさめられているのは、ちょっぴりとぼけた味わいの、ゆかいな五作品。ユーモアいっぱいで、ついつい笑ってしまうよ。

 

・とっちゃまんのミニミニ解説

五作品を短く解説していくね。

まず「たいらばやし」。漢字を読めないということと、漢字には何通りもの読み方があるということが、話をおもしろくしている。日本のふくざつな漢字の文化をさらりと話に取りこむワザは、さすがだね。読み書きができないことを、笑ってネタにしてしまうセンスにも注目だ。

「んまわし」には感心した。これこそ日本の知性だね。ゲームとしてもハイレベル。きみも家族や友だちとやってみるといいよ。

言葉遊びは日本のお家芸。言葉を理解して、いろいろな意味を持たせ、大切にしてきたのだと思う。

「大安売り」はすもうの話。ひょうひょうとした関取と、だんなたちとの話のテンポがいい。勝ち負けにこだわらないおとぼけぶりもいい。受け答えのおもしろさに、うなったり、だつ力したり。

「めがねやどろぼう」で着目したいのは、心理戦。「名探偵コナン」のような世界だね。「まじめで立ぱなどろぼうになります」というセリフが、みょうにおかしい。まぬけなどろぼうたちも、いい味だ。

「まんじゅうこわい」も心理戦。人のからかいの上を行く作戦で、ただでまんじゅうをたらふく食べたという、有名な話だ。

からかいをゆるし合える親しい関係って、いいものだね。からかいやふざけと、いじめとはちがう。この問題をじっくり考えてみてもいいな。

 

・感想文はどう書こう?

五つの話にきみなりの順位をつけてもいいし、好きな話をひとつ選んで書いてもいい。「ぼくが気に入ったのは、~です」という文だね。

「おもしろかったです」だけでは終わらないのが感想文。どんなところがどうおもしろかったのか、くわしく書いてみよう。なぜ笑えるのかをしんけんに分せきしてみるのもいいね。

「笑い」そのものについて考えてみるのもおすすめ。今の日本はお笑いでいっぱいだ。学校でも、人を笑わせる子が人気者になったりする。どうして?ボクたちにとって、「笑い」とは何だろう?

落語は本来、目で見て、耳で聞いて、楽しむもの。だけど、時には本を読んで、笑いについて追求するのもいいものだ。きみの感想文に期待しているよ!

 

 

※上記の著作権は宮川俊彦にあります。
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※出典:読書感想文おたすけブック

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えほん寄席 満員御礼の巻

桂文我、桂平治、柳亭市場、桂米平・噺

藤枝リュウジ、荒井良二、長野ヒデ子、灘本唯人、山崎英介・絵 / 小学館